こんにちは、コトノハです。
新しく始まったテレビドラマ、毎週火曜日夜10時からの「逃げるは恥だが役に立つ」が久々に面白そうなドラマでした。
テレビ番組は手当たり次第にレコーダーのキーワード録画しているのですが、最近はあまり面白いドラマもなかったので録画しただけで結局最終話までみることもなく録画削除することが多かったのですが、この「逃げるは恥だが役に立つ」は久しぶりに最終話まで見てしまいそうです。
別にストーリーが面白いだとかガッキーかわいい!とかではなく、番組の骨格といいますか、「事実婚によってお得に家事代行サービス契約を行う」というところに興味があるわけです。
番組の骨組み
番組紹介
「逃げるは恥だが役に立つ」は(私は知らなかったのですが)マンガ作品のドラマ化、原作者は「海野つなみ」さん。
ストーリーは簡単に、というか見てる方も多いでしょうしネットでも調べられるので簡単に言うと・・・
派遣会社をリストラされた森山みくり(ガッキー)はシステムエンジニアの津崎平匡(星野減)と「事実婚」による「家事代行サービス」の「契約結婚をする」というお話し、よくわかりませんね(笑)。
雇用主(事実婚夫)である津崎と従業員(事実婚妻)であるみくりは同居しながら津崎の家事代行サービスを請け負う契約を結びます。津崎にとっては家賃・光熱費・食費などの折半によるメリット、みくりにとっては収入を得られるメリット。そして、面白いのは「事実婚」による法制度によって保険や年金は津崎の扶養として加入できるということです。番組では出てきませんでしたが夫婦なので、津崎がみくりに支払う給与も「妻のお小遣い」となり所得税の対象外になると想定できます。
これ、面白いなぁ、と思いました。
戸籍婚と事実婚
まず、入籍を伴う結婚と入籍を伴わない結婚を整理します。
入籍を伴う結婚は普通の結婚ですね。戸籍婚と言います。
入籍を伴わない結婚は「事実婚」と言われています。戸籍上の変更はありませんが、法的には住民票により「住居を共にする」ことと「続柄として未婚妻と称する」ことで事実婚となります。
戸籍婚と事実婚の違いは法的にはいろいろあるのでしょうが、ざっくり番組に関係する範囲では以下の感じかな?もっとあるかな?
- 健康保険は扶養に入れる(みくりの健康保険は津崎の扶養内)
- 年金は3号被保険者となる(みくりの年金は津崎の厚生年金3号被保険者)
- 家事代行による労働賃金は報酬(所得税対象)ではなく家計(所得税対象外)
- 事実婚は相続に関する法定相続人にはならない
こんな感じなのかなぁ?
主婦の無償労働は年間304.1万円
また、番組でのキーワードとして「主婦の年間無償労働力はOC法によると304.1万円」という言葉がでてきます。主婦の給料は年間304.1万円が妥当、ということです。
OC法とか面倒なことは今回は省きますが、番組のストーリーの骨組みとしては以下の感じでしょうか?
- みくりは津崎と同居して家事全般を代行することで、年間304.1万円相当のサービスを提供する
- 津崎は自分のシステムエンジニアとしての給与から年間304.1万円をみくりに支払う
- ただし、事実婚による税・社会保障の優遇措置を利用することでその分を304.1万円から差し引く、これはみくりにとっても不利益とはならない
- さらに津崎の家賃・水道光熱費・食費を折半
津崎の「事実婚の提案」
さて、番組(第一話)では「津崎さん!主婦として私を雇ってください!いや、いっそ結婚してください!」と勢い余って言っちゃったみくりに対して、後日津崎が「みくりさんを専業主婦として雇用することは私にとってもメリットがあります」として「事実婚の提案」を行います。
その時の提案書の画面キャプチャがこちら。
※津崎の立場で計算しているようです。
ちょっと見にくいので表に起こしてみました(笑)。
これまでの生活
まず、現在の津崎の生活費と思われる表です。
これまでの生活 | |
---|---|
家賃 | 150,000円 |
光熱費 | 8,000円 |
食費(外食) | 90,000円 |
家事代行業費 | 50,000円 |
総出費 | 298,000円 |
共同生活の場合
そして、事実婚により津崎とみくりが共同生活を行う場合の出費試算と思われる表です。
共同生活の場合 | |
---|---|
家賃 | 150,000円 |
光熱費 | 25,000円 |
食費 | 30,000円 |
家事代行業費 | 0円 |
森山さんへの給料 | 194,000円 |
総出費 | 399,000円 |
ここで、「森山さん(みくり)への給料」が194,000円/月となっています。年間で2,328,000円です。
あれ?「OC法による専業主婦の年間無償労働」は304.1万円では?
これ、たぶんですが、年間の収入304.1万円の個人事業主が青色申告により所得税申告した場合の所得税・住民税・国民健康保険料はざっくりと以下の通り。
青色申告による年収304.1万円の納税額 | |
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所得税 | 106,000円 |
住民税 | 210,000円 |
国民健康保険料 | 219,000円 |
合計 | 545,000円 |
これに国民年金が年額16万程度なのでこれを加えて約70万円。
これらの出費は事実婚によりみくりが津崎の扶養にはいることで別途出費する必要がなくなるため、304.1万円から70万円を差し引いて約230万円という試算なんだろうな(よくわからんが)。
折半分のバック
そして共同生活による折半分として津崎がみくりから受け取る金額。みくりは給料の194,000円からこの分を津崎へバックする、という金額ですね。
折半分のバック | |
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家賃 | 75,000円 |
光熱費 | 12,500円 |
食費 | 15,000円 |
合計のバック | 102,500円 |
総出費-バック分
一旦集計。
共同生活の場合の津崎の総出費399,000円から折半分のみくりからのバック102,500円を引いています。
399,000円 – 102,500円 = 296,500円
各種手当によるバック
各種手当によるバック | |
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家族手当(妻の扶養) | 18,000円 |
また、津崎がみくりとの事実婚により会社からもらう「家族手当(妻の扶養)」が18,000円あるらしい。
実質総出費
そして、共同生活の場合の生活費(399,000円)からみくりの生活費負担分(102,500円)と扶養手当(18,000円)を差し引くと・・・
399,000円 – 102,500円 – 18,000円 = 278,500円
この278,500円が津崎が試算した「共同生活した場合の自分(津崎)の出費分」となります。
津崎にとってもメリット有り
で、結局、今までの生活費298,000円に対して共同生活による津崎の生活費負担を引くと19,500円、つまり共同生活により津崎には19,500円のメリットがある、という津崎の試算結果です。
298,000円 – 278,500円 = 19,500円
いっぽう、みくりにとっては毎月194,000円の給料を津崎からもらい、共同生活費の折半分として毎月102,500円を津崎へ支払う、差し引き91,500円が毎月手元に残る計算になります。
ということで、双方にメリットがあるとの結論でみくりと津崎は事実婚による専業主婦契約を結ぶのでありました!
そんなにうまく行くのか?
設定によると津崎はシステムエンジニアで35歳、彼女いない歴が年齢の「プロの独身」、みくりは大学院卒の25歳で家事大好き。
この若い年齢の二人が同居すると、まぁ、いろいろと面倒なことなのでまずこれがうまくいくのかな?とは思うのですが、いったんそれはおいておきます。たぶん番組ストーリー的にはやはり恋愛ストーリーになっていくのかなとは思われますが・・・。
このあたりは今後の番組展開を楽しみにしておくとして・・・
問題は収支的に津崎とみくりはこれでやっていけるのか?というお話し。
私はやっていけそうな気がします。
毎月194,000円の収入から共同生活費として102,500円を支払い、残りの91,500円から個人の生活費(携帯代とか?)などを支払うと考えると、私はやっていけそうな気がしますね。
ただ、気になるのは契約を解消したときです。
年金は津崎の厚生年金3号被保険者となるわけですが、契約を解消(事実婚の離婚)の場合は事実婚の期間分の年金はみくりに分割されます。その分、津崎の年金は少なくなります。これをどう考えているのか、知りたいところです。
「逃げるは恥だが役に立つ」を見て考える
結婚しない人が増えているそうです。50歳以上の男性の5人に1人は生涯独身だそうです。その分、女性の未婚率も増えているのでしょう。
また、熟年期で妻に先立たれた男性や夫に先立たれた女性が年老いてからの伴侶を求めて結婚し、子や孫に文句言われているようなドラマや映画も数あります。
やはり、本来の結婚ではなくても生活のパートナーは欲しいものです。
さて、この番組を見て思うことは制度利用的に面白いなということ。カップルの多様化とか言って同性婚の憲法改正などが囁かれていますが、これも同じ。
以前、「ガイアの夜明け」でも熟年者のシェアハウスが紹介されていましたが、事実婚をうまくつかうことで「本来の結婚」というちょっと重い(?)パートナーシップではなく、経済的な優遇を受けながらの軽い(?)パートナーシップを築くことで、夫婦というか軽いノリのカップルが増えると、孤独死なども減っていくのかなぁ・・・なんて社会問題的なことまで考えてしまう、興味深い番組でした。
おしまい。